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2019/11/13

篠笛情報リンクまとめ【篠笛の勉強】

当ブログではこれまで篠笛の関する情報サイトのリンクや書籍の紹介などをしてきましたが、ここでいったん整理しておきたいと思います。



【まとめ一覧表】


書籍名
出版社
概要
(株)篠笛文化研究社
篠笛教本の決定版
サイト名
サイト運営者
概要
伝統芸能アーカイブ&リサーチオフィス – TARO
①教本のダイジェスト版+追加情報満載の篠笛「虎の巻」
(株)篠笛文化研究社
篠笛・祭に関する様々な記事掲載のブログ
(株)篠笛文化研究社
Q&Aと豊富なPDF資料
篠笛フォーラム事務局
玲月流門下生中心の掲示板(外部の方の書き込みも可)
有限会社 日音
笛師 山田藍山 (山田隆)氏のコラム



『日本の音 篠笛事始め』

篠笛奏者・指導者であり、篠笛と祭の研究者でもある玲月流初代 森田玲先生が書かれた篠笛の教本。
篠笛の奏法だけではなく、篠笛という古典楽器の歴史、その構造や発音の原理、さらに日本の音律についてまで網羅されている一冊です。わらべ歌や古歌、祭囃子など二十曲以上の日本の音曲が数字譜で収録されてあり、初心者から上級者まで幅広く読まれている教本です。(A4 102ページ 2,750円+税)

〈紹介記事〉
ついに出た! 篠笛の専門書 篠笛の勉強



講座シリーズ#4「篠笛を知る〜祭が育む日本の音〜」レポート

森田玲先生が2018年11月に京都芸術センターにて話された講義内容をまとめたもの。
『日本の音 篠笛事始め』のダイジェスト版とも言えます。
教本発行後、研究により新たに分かった最新情報も追加されています。
テキストデータだけで18,000文字以上あり、じっくり読み込む内容になっていますので、以下に各章の要点だけまとめておきます。篠笛についてピンポイントで調べものをされたい場合に役立てばと思います。


1.篠笛の発鳴原理と特徴 
〈ここが知りたい〉
  • 篠笛はどこから、どのようにして鳴っている?  
  • リコーダーとの違い
  • 指打ちって?

2.和楽器の分類
〈ここが知りたい〉
  • 和楽器は大きく〇つに分けられる?


3.日本の横笛
〈ここが知りたい〉
  • 篠笛の歴史
  • 篠笛以外の日本の横笛にはどんなものがあるか?
  • 現在確認されている日本最古の横笛は?

4.祭の中の篠笛
〈ここが知りたい〉
  • 篠笛は祭の中でどのような人によって吹かれているのか?

5.三味線と篠笛との出会い
〈ここが知りたい〉
  • 篠笛が三味線と一緒に演奏されるようになったのは何時代?
  • 篠笛が歌舞伎に導入された背景は?
  • 三味線音楽の笛と祭囃子の笛はどう違うの?

6.篠笛の語源
〈ここが知りたい〉
  • 「篠笛」という言葉が使われたのはいつ頃から?
  • ネット情報の誤り
  • 「篠笛」の語源(考察)

7.篠笛の分類
〈ここが知りたい〉
  • 今一度整理しておきたい、篠笛の分類

8.日本十二律と三分損益法
9.日本十二律と西洋12平均律
〈ここが知りたい〉
  • 日本十二律とは?
  • 三分損益法って??
  • 日本十二律と西洋12平均律の違い
  • 日本の音律にAとかBはあるのか???
日本の音律について勉強してみたい方は、8・9章を読んでください。


10.邦楽調(唄用)篠笛の誕生
〈ここが知りたい〉
  • 唄用篠笛は、いつ・誰が考案したの?

11.ドレミの笛の問題点
〈ここが知りたい〉

  • 3つの問題点-指孔配置、日本と西洋の音律の混同、紛らわしい名称

講座シリーズ#4「篠笛を知る〜祭が育む日本の音〜」レポート
篠笛について体系的に学べるかなり貴重な情報源で、しかも無料です。
活用しない手はないと思います。


〈紹介記事〉
篠笛「虎の巻」が公開されました 篠笛の勉強


篠笛草子 〜 ほのかに聞こゆるもいとをかし 〜


篠笛文化研究社運営。篠笛・祭に関する様々な記事掲載のブログです。



篠笛草子サイト内-よくある質問(目次)

篠笛についての初歩的な質問(例・お手入れ方法)から、音律・音階などのちょっと小難しい質問まで答えてくれるページ。豊富なPDF資料も掲載されていて、全て無料でダウンロード出来るので、超便利です。三分損益法や音律について勉強したい方は、9.資料編のリンクをチェックしてみてください。



篠笛フォーラム

玲月流門下生向けの掲示板ですが、一般の方も書き込み可能です。
篠笛小テストとか腕試しにやってみてください。



「音楽教育と伝統音楽」

このブログでも紹介している『日本音楽ことはじめ』の著者 山田隆(山田藍山)さんのコラムページです。山田隆さんは愛知県犬山市の元小学校教諭で、1980年代から小学校の音楽の授業に和楽器を導入し、数多くの子供たちに日本音楽の指導をして来られました。




・・・


以上、ざっとまとめてみました。

授業で和楽器について教える学校の先生
篠笛をこれから始めたい方
篠笛について今一度勉強し直したい方
ステージで篠笛を紹介する演奏者の方


が篠笛について調べものをする際の参考となりましたら幸いです。



シンガポールにも竹はたくさん生えています


2019/03/15

英語版ブログの記事をアップしました

おはようございます。


朝練を終えて出勤前の朝食を楽しんでいるところからの投稿です。


朝から篠笛を吹くのは実に気持ちが良いです。脳にたくさんの酸素が送り込まれて頭も心もスッキリ爽快です。


明日は月に一度の篠笛の練習会です。

練習会に向けたウォームアップと個人練習も兼ねて、朝からスタジオで吹いてきました~。

ドラムスタジオを使わせてもらっています

さて、勢いで立ち上げた英語版の篠笛ブログですが、ゆっくりペースで記事を書いてはアップしております。が、がんばっていますよぉ・・・(笑)


以前、こちらでもご紹介した「邦楽調 雲雀」のレビューを今回英語版にしてアップしました。

Hibari (雲雀) , uta-yo Shinobue review

篠笛をしている友人たちからよく聞かれるんです。

「篠笛の購入を考えているけど、どこのを買ったらいいですか?」


予算の上限がなければ「京師」をまずオススメしていますが、篠笛を購入するにあたって「SGD 200まで」と予算を決めている方も結構いらっしゃいますので、(当地シンガポールは、この予算ラインの人が多いです)手頃なお値段で竹製の唄用篠笛が欲しいという方には最近は、「邦楽調 雲雀」をご紹介しています。


この質問がWhatsAppとかで来ると、返事が超長くなっていちいち打つのが大変なので、今回英語版ブログの記事にしてアップしてみました。

これからはこの記事のリンクを貼って、「FYI(ご参考までに)」とメッセージを付ければオッケーです(笑)


”Hibari (雲雀) , uta-yo Shinobue review” 
DIARY OF A SHINOBUE LOVERより
https://shinobuediary.blogspot.com/2019/03/hibari-uta-yo-shinobue-review.html


篠笛の購入を考えているご友人の方に記事をご案内いただけますと(もちろんFYIを添えて)ありがたいです。


ではでは、今日も一日がんばりましょう!

2019/03/04

WikipediaでShinobueを検索したらエライことになってた


無謀にも英語版ブログを立ち上げてしまったお陰で、海外で篠笛のことがどのように紹介されているのかが気になり、ネット上で色々と検索している今日この頃。


‘Wikipediaの英語版で試しに"Shinobue"を検索してみたら、ぶっ倒れそうな内容でした。



色々とツッコミどころ満載ですが、英語版 某インターネット百科事典では、
「篠笛はお能で吹かれている」ことになっています。ええ~?!


また、「唄用笛は西洋の音階に沿ってきちんと調律されている」「お囃子用の笛はピッチが正しくない」んだそうです。あちゃぁー・・・


もう、びっくりでしょ?



Wikipediaは、有志の方がボランティアで編集して作られているものですし、記述されている情報の信頼性とか信憑性は保証されていないことをユーザーが承知した上で利用するものですから、ごちゃごちゃ言うこと自体ナンセンスなのかも知れませんが・・・


それにしたってひどいですよ。

さらに悪いことに、この"Shinobue"の記述がコピペされてネット上で結構出回っているんです。


これ、なんとか出来ないものなのでしょうかねぇ。

篠笛ってかなりルーツが古い日本の民族楽器なので、こういう風に海外で認知されていることを知って悲しくなりました。。。


そして、やっぱりネット検索だけに情報収集を頼ることの危険性も感じました。



最近あったショックなことだったので、忘れないように記しておきます。


2019/02/18

シンガポールの篠笛練習会

先週の土曜日は、月に一度の篠笛練習会でした。


シンガポール人メンバー中心の練習会で、私は3年半以上この練習会の進行役を務めております。


私含めてほとんどのメンバーがゼロから篠笛を始めた人たちです。
毎月和気あいあいと、でも真剣に練習に取り組んでいます。



ちょっとみんなの自慢をさせてください。


みんな、とても「いい音」を出すんです。


スッカスカの音とか出さないですよ。


万一出てしまったら、

「今のは"airy"(スッカスカ)だったからもう一度」と言って吹きなおします。


人の音、自分の音を聴いて、どんな音が篠笛の音として良いのかをそれぞれが分かっています。


メンバーの誰かが、いい音を出した時、「今の音、すごくいい!」ってみんなで反応します。


篠笛のキレイな音を聴くのが好き、そして自分もキレイな音を出そうと努力する人たちです。


全員太鼓もやっていて、太鼓の練習でスタジオに来た時によく屋上で篠笛の個人練習をしています。


努力家さんたちなんです。


実は現在残っているメンバーは私も含めて、器用に何でもソツなくこなすタイプではなく、1つのことが出来るようになるのに非常に時間がかかる人たち。


今みたいにいい音が出せるようになるのにかなり年数がかかっています。


でも、不器用だからこそ、篠笛を始めた時に真っ先に派手な運指の曲には飛びつかず(飛びつけず)、基本中の基本となる「音」の質を高めていくところから始めることが出来たんだと思います。


月例練習会の内容は基礎練習中心でとても地味。
試行錯誤していくうちにそうなって行きました。
もちろん曲練習もしますけど、曲を次から次へとたくさん練習したい人からしたら、つまんなかったかも知れないですね。
今残ってるメンバーは根気あります。



シンガポールで篠笛を頑張るメンバーたち
これは今月ではなくて数ヶ月前の集合写真


今月の練習会ではメンバーからたくさんの質問を受けました。
お囃子の指打ちが難しいという話にもなりました。


(私は指導者ではないので、上がった質問の全てに答えることは出来ませんが、自分の知りうる限りの範囲内で、実際に自分が実践してみて出来るようになったこと、理にかなっていると思ったこと等に関しては、情報の「シェア」という形でメンバーに伝えるようにはしています。)


ここ数年でメンバーの嗜好にもだいぶ変化が見られ、お囃子を吹いてみたい人たちが増えています。


それは私もそうです。実際に日本の祭でお囃子を吹いたことはありませんが、私も年々お囃子、お囃子らしい篠笛の音を出したいという気持ちが高まっています。


篠笛がもともとどういう場面で吹かれてきた楽器なのか、どういった曲で篠笛が持つ音の美しさ、華やかさ、軽やかさ、清らかさが発揮されるのかを考えると、お囃子、お囃子らしい音曲を吹くのが自然の流れなんじゃないかと。


これは私の個人的な気持ちで、メンバーがどこまで考えてお囃子を吹きたいと思っているかは定かではありません。


ただ、彼らが祭囃子で流れる篠笛の音に「日本らしさ」を感じているのは間違いなく、祭が何であるのかという理解は充分に及ばずとも、お囃子を自分も吹くことでその「日本らしさ」に触れてみたい、日本と繋がっていたいという気持ちを持っていることは分かります。


篠笛で「千本桜」(古い?)を吹きたいと言われたらズッコケますけど、お囃子を吹きたいと言っている彼らの篠笛に対する姿勢はすごくまともだと思います。



さて話を元に戻すと、シンガポールで篠笛を頑張るメンバーたちは、個人差はあれど今こんな状態です。



音はきれいに出るようになってきた。


でも曲吹きになった時、それぞれのきれいな音が繋がっていかない。


特に自分たちのやりたいお囃子の曲になると指がついていかない。


どうしたらいい?



ん~、いっぱいクリアしていかないといけない課題がありますね。



メンバーから篠笛に関する質問や議論が上がってくるのは嬉しい反面、それは私達の練習内容のレベルも一段階上がる時期に来ているということなので、練習会を仕切る側としてはさらなる勉強と練習が必要となります。


指打ち、指回しだけでなく、息遣い、姿勢、構え方といったことにも練習会で触れていかなければならないでしょう。



私個人にとってもこれらは喫緊の課題です。


まずは自分がきちんとクリアしていかなくては、練習会のメンバーに何も還元出来ませんからね。


今月の練習会は、メンバーの成長が感じられただけに、次の課題も明確に見えてきて、ちょっと今まで以上に気合い入れていかないとダメだなと気持ちが引き締まりました。




ちなみに今回、メンバーが主に使ったのはこちら↓の笛です。

このプラ管、プラ管なのに下手な竹管よりずっと鳴るんです。

こちらについてはまた書きますね。


練習会メンバーに大好評の唄用プラスチック製篠笛



プラスチック製篠笛
「篠音-しののね-」唄用7本調子
1700円(税別)なのにめちゃくちゃ鳴る


以上、シンガポールの篠笛練習会についてでした。

2019/01/25

篠笛の掲示板サイト

篠笛愛好家さんに情報シェアしておきます。

篠笛について情報交換ができる掲示板が出来ましたよ~
篠笛フォーラム(掲示板)


https://shinobue2.wixsite.com/shinobue/forum



玲月流の門下生中心の掲示板ですが、外部の方も書き込みOKです。
(投稿・コメントに関するガイドラインを読んでくださいね)


多分、日本一 篠笛について真面目に議論している掲示板です!




普通にネット検索していたらなかなかたどり着けないような有益な情報がたくさん得られる場です。



読み専に徹しても良いですし、みなさんの投稿を読まれて何か思われることがあればもちろん書き込んでいただいてオッケーです。
実際に外部の方も書き込まれています。




海外で篠笛を吹いている方は生の情報が日本から入ってこなくて苦労されていると思います。
分からないなりにやってるけど、ふいに現地の人から篠笛について鋭い質問をされて、ぎく!ってなったりしませんか?
たまにこちらを覗かれて情報をアップデートしてみるのもいいかも知れませんよー


ほなぁ~。



サムネ用の写真がないので既出の
美人な篠笛 京師(みやこ)ちゃん
余談ですが、この方を愛でた記事がうちのブログで
2番目に読まれているらしいです
みんな「美人」って言葉に弱い?!





〈英語版ウィ◯上の「Shinobue」の記述がヤバイ話〉
某インターネット百科事典

2019/01/24

カリフォルニアロールと日本音楽

突然ですが、




お寿司屋さんへ行ったとします。(日本国内とお考えください)




結構、繁盛しているようで客席はほぼ満席。



予約していたカウンター席に座りました。



目の前では日本人の板前さんがお寿司を握っています。




「おまかせコース」を頼みました。





板前さんが最初のお寿司を目の前に置きました。
















「ん?!」






あれ、これはもしかして、シンガポールのスーパーでよく売られている
カリフォルニアロール?!








前菜として敢えてこういう変わり種を出す店なのかな・・・?








ふたつめ












「えぇ?!」






来たよ、アボカドや。アボカド好きやけど、違うやん。























はいはいはいはい、これな。うん、外国の人こういうの好きやわ。



入る店間違えてしまった。これは私が悪いわ。うん。







ふと振り返って店内を見渡すと、店内にいるのは全て日本人。




みんなカリフォルニアロールをありがたそうに食べている。






「やっぱ日本の寿司は美味いね」





「和の心を感じるね」






口々にカリフォルニアロールに賛辞を送るお客たち。





誇らしげな板前さん。








目眩がしそうになって、お会計を済ませて店を出る。







「お寿司って何だっけ・・・」






虚ろな目でとぼとぼと歩きながら夜の闇に消えていく・・・







-世にも奇妙な物語春の特別編-





この物語はフィクションです。








当たり前です(笑)


こんなことは日本では起きませんよね。





日本に住まわれている日本人で、お寿司と聞いて、瞬間的にカリフォルニアロールを思い浮かべる方はおそらくいらっしゃらないでしょう。


カリフォルニアロールに「和の心」を感じる方も珍しいのではないでしょうか。




断っておきますが、カリフォルニアロールのことを否定するつもりは全くありません。


カリフォルニアロールは魚を生で食べる習慣がない、また酢飯に馴染みがない外国人に寿司を知ってもらう最初のきっかけとしては大変 工夫された食べ物だと思います。
私も猛烈にごはんものが食べたいけれど自炊する時間がない時にシンガポールのスーパーで買って食べます。




ただ、カリフォルニアロールが日本の食文化を代表する食べ物かと問われたら「違います」ということは申し上げたいです。


味も、素材も、作り方も、提供のされ方も、食べる時の作法も、何もかも寿司とは別物です。海外でよく遭遇する、「なんちゃって和食」に入ります。それが悪いとは申しません。



話を元に戻しますね。



今回、世にも奇妙な物語春の特別編をお届けしましたが、



これを読まれて


「んなこたぁ起きないよ」(タモリ)




って普通に思われましたよね。


そうなんですよ。多分、今後も起きないと思います。






でも、これ篠笛の世界では既に起きてしまってるって言ったらどう思われます?





篠笛の演奏会に行ったとします。

チラシに「日本の心」とかなんとか書いてあります。

会場はお客さんでいっぱい。

期待しますよね。


一曲目、めっちゃ洋楽。

二曲目、めっちゃポップス。

三曲目、日本の曲を演奏しますって言って、童謡唱歌


吹いてる笛はドレミ笛


周りのお客さんの反応「和の心を感じる」




「篠笛って何だっけ・・・」




ノンフィクションです





フィクションであって欲しいけど、これリアルで起きてることです。





洋食文化が日本に入ってきたとは言え、日本の食文化は割と守られているというか、日本食と外国の食文化の棲み分けがうまく出来ているように思えます。


海外に出て初めて、自分も含めて日本人って和食文化へのプライド、こだわりを強く持っているんだなと感じました。

前述の「なんちゃって和食」に遭遇した時の日本人の反応は大変シビアです。
「こんなの日本食じゃない」と味付けや素材だけでなく、器や盛り付け方、店員の食事の提供の仕方、店の雰囲気、佇まいなど総合して、「日本」的かそうでないかの評価を下します。
もちろん、値段に見合った味・サービスが提供されますから、料金設定が低いお店でこれをやったらただのイタい客ですけど笑




そんな日本人ですが、どういう訳かこと音楽文化に関してはプライドもこだわりも希薄であるように感じます。


「なんちゃって和食」を食べてこれは違うと判断できる日本人が、「なんちゃって和楽」を聴いてこれは違うとはならない。


食文化は守れているのに音楽文化は守れていない。




なんでなんでしょう。



最近、会う人会う人にこんな話をしています。






ああ、大阪帰ってお寿司食べたいなあ!






2019/01/07

「邦楽調 雲雀」を吹いてみた  篠笛レビュー

昨年の秋に日本へ帰った際に、大塚竹管楽器さんが新しく出された邦楽調(唄用)の篠笛を購入しました。


前々回のブログ記事でも触れておりました、「邦楽調 雲雀」(ほうがくちょう ひばり)です。


大塚竹管楽器さんの邦楽調(唄用)篠笛
雲雀


このところ忙しかったのですが、ようやく色んなことが一段落ついて時間が出来たので久しぶりにスタジオを押さえて篠笛の練習。そこで「雲雀」も吹いてみました。


知り合いのミュージシャンに紹介してもらった
ドラマー専用のスタジオ

個室練習部屋
ドラムセットを前に篠笛の練習をしています笑

このドラムスタジオの個室練習部屋は、利用料S$15/1時間とお手頃。
月契約するとS$120で朝の8:00から深夜0:00の間使い放題でかなりお得。
重宝しています。



話を本題に戻しますと、
この「雲雀」は"歌舞伎囃子や三味線などの相性を考えて作られた笛"と大塚竹管楽器さんのウェブサイトに書かれてあります。

これは何がポイントかと言うと、

「雲雀」はこれまで大塚竹管楽器さんが作られていた、そして今ももちろん作られている、洋楽調(ドレミ調)笛の「東雲」とは異なる、日本の調律で作られた笛である

ということです。「東雲」とは別物です。


以下大塚竹管楽器ウェブサイトより抜粋

"長唄などに使われ、篠笛本来の美しい響きを損なわない伝統的な調律をしています。
長唄をはじめ民謡やわらべ唄など日本に伝わる多くの曲を演奏するのに適しています。"

つまり、本来の意味での「唄用」の笛が、大塚さんのところで新たに製作・販売されることになり、それが「雲雀」に当たります。


笛を長くされている方でも勘違いしていらっしゃる方が多くて、私は3、4年ほど前に「東雲」を吹かれている人に、「東雲」はドレミで調律されている笛と申し上げたのですが、その方はご自身が持っておられるのは、唄用の笛だと仰いました。
これは無理もない反応でして、実際 楽器屋さんへ行ったら、「唄用/唄物」って書いて売られてますから、買った方からしたら唄用と認識しますよね。
まぁ、でもその頃は、大塚竹管楽器さんからは篠笛に関しては、古典調「獅子田」とドレミ調「東雲」しか出していませんでしたから、唄用の笛ではないんです。。。


「邦楽調 雲雀」八本調子 七穴 両籐巻


そんな訳で、昨年に大塚竹管楽器さんが唄用の笛を出されたことは私にとっては、お?!となるニュースでした。
ウェブサイトを拝見すると、「獅子田」は古典調、「雲雀」は邦楽調(唄用)、そしてこれまで作ってこられたドレミ調の笛「東雲」を洋楽調(ドレミ調)と、分かりやすく区別・明記して販売されておられます。前回のブログで私がぶーぶー文句を言っていた誤表記問題が起きないような打ち出し方をされて、それも良いことだなぁと感じておりました。

【前回のブログ記事】
唄用篠笛・ドレミ笛問題 一般消費者から言いたいこと


あとは、代理店、楽器屋、太鼓屋さんに卸して販売される際にどう表示されるかです。その点も今後注目したいです。


私個人は、専ら「京師」しか使いませんが、「雲雀」はシンガポールで篠笛を頑張っている仲間への情報提供のためにも是非吹いてみたいと思っておりました。
なんと言っても、一管13,500円~とこちらの人が買い求めやすいお値段なんです。



そんな「雲雀」を実際に購入して吹いてみた感想を書いてみます。


「邦楽調 雲雀」八本調子 七穴 両籐巻 13,500円


指に負担をかけない指孔の配置

購入前に一番気になったのは指孔の配置ですが、指に変な負担をかけずに自然に
全ての指孔を塞ぐことが出来ました。これは女性や子どもにとっても運指が楽です。


上:京師 邦楽調(唄用)八本調子
下:雲雀 邦楽調(唄用)八本調子

細い

「京師」と比較すると細いです。八本調子だから余計にそう感じるのかも知れません。最初、「京師」と同じ要領で吹いた為、音割れしてしまいました。これは笛云々ではなく、息の吹き込み方、息の量を自分が調整することで解決しました。数分吹き続けていたら慣れてきます。

逆に言うと、初心者の方や息の量があまり多くないお子さまでも鳴らしやすい笛だと思います。


左が雲雀で右が京師

軽い

竹の材質もあるのでしょうか、あと管が細いので持った瞬間、軽いと感じました。


筒音が鳴らしやすい

全ての指孔を無理なく塞ぐことが出来るので、筒音が鳴らしやすいです。
また、細い笛なのに低音もばっちり鳴ります。


高音がとてもキレイ指打ちの歯切れが良い

さすがお囃子の笛を長く作られているだけあって、高音の響きが非常に良くて吹いていて気持ちが良いです。また、指打ちしやすく、打った時の音の歯切れの良さも、「獅子田」を彷彿させます。


唇の位置は気をつけて

歌口に唇を乗せる時、深く乗せると音がうまく鳴らないかも知れません。
浅め(というかほんの僅か)に乗せると良い音が出ると思います。


まとめ

「雲雀」は鳴らしやすくて価格もリーズナブルですから、初心者の方やプラ管から竹管に買い替えをお考えの方にもおすすめです。

あと、既に「東雲」や他のドレミ笛を吹かれてる方も、唄用の笛ってどんなん?ってことで試されても良いかも知れません。

ドレミ笛→唄用に持ち替えた時に実感するのは、やはり指孔の位置の違いではないかと思います。
今回の八本調子では分かりにくいですが、六本調子とかもっと長い笛になってくると、唄用の笛は第一孔でも小指が普通に届きますから、指回しが楽だと感じられるでしょう。



歌口



指孔

以上、「邦楽調 雲雀」を吹いてみた、でした。



後日談:この記事を読まれた大塚竹管楽器さんからメールをいただきました!
大塚竹管楽器さんからメールを頂戴しました!

2019/01/02

唄用篠笛・ドレミ笛 誤表記問題 一般消費者から言いたいこと

気がつけば2019年です。
明けましておめでとうございます。


相変わらず表立って演奏活動はしておりませんが、ちょこちょこどこかしらに出没して笛は吹いております。


年末年始も篠笛三昧です。練習もそうなんですが、どちらかと言うと篠笛の勉強漬けの毎日です。過去に読んだ本や資料をもう一度読み込んだり、新たに分からないことを調べたり(海外在住なのでGoogle先生に頼っているところが大きいのですが…)と、毎日篠笛のことを考えて過ごしています。自分の好きなことですので全然苦ではないです。



昨年は、唄用篠笛とドレミの笛問題でちょっと進展があったように思えた年でした。
篠笛奏者さんのFBやブログをマメにチェックされている方はピンと来るかも知れませんが、ドレミ笛を吹かれている篠笛奏者さん達の中にも、ドレミの笛は唄用・唄物の篠笛ではない、という認識を持ち始めた方が出てきたことが外野からも見てとれます。良い流れだと思います。



ドレミの笛が「唄用」「唄物」篠笛と表記されて売られている誤表記問題。大変紛らわしく、消費者にはたまったものではありません。一刻も早い名称統一が望まれます。消費者である我々篠笛愛好家の手に中身と表示が一致した「正しい商品」が渡る日が来ますように。

「えっ!唄用=ドレミじゃないの?!」と思われた方は、その違いについて詳しく解説された記事のリンクを貼っておきましたので先にこちらをお読みになってください。

↓↓↓

唄用(邦楽調)篠笛とドレミの笛の違いについて(改)
篠笛奏者 森田玲先生のブログ「篠笛草子 〜 ほのかに聞こゆるもいとをかし 〜」より

さて、ドレミ笛は唄用笛とは違う。それは自分的にはもう当たり前過ぎるんですけど、篠笛を始めて一年位は私も全然分かっていませんでした。だから、笛屋さんが「唄用」と表示して売っている「ドレミ」の笛を疑いなしに「唄用」だと思って数管購入したこともあります。

知らなかったとは言え、今から考えたら本当にお金がもったいない・・・


でもその後、本物の唄用篠笛に出会って、ドレミ笛と見比べ、持ち比べ、吹き比べしていくうちに、唄用とドレミ笛は似て非なるものであるという結論に自分の中で至り、私が吹きたい音楽を追求するならばドレミ笛ではなく唄用笛でいきたいと最後は自分自身でそう決めて前に進むことが出来たので、回り道にはなったけれどいい勉強になったなぁと思っています。
ドレミ笛→唄用笛に移行した際は、ドレミ笛の時の持ち方の悪いクセが抜けきれなくて一時的に音が出なくなったこともありました。焦りましたし、凹みましたけど、正しい持ち方で吹くうちにキレイな音が鳴るようになりました。
ああ、それももう懐かしい過去の思い出です。(しみじみ)


とは言え、イチ消費者の立場からすれば、ドレミの笛を唄用・唄物と表記して販売することは「誤表記」以外の何物でもなく、このような消費者にとって紛らわしい表記の使用はあってはならないと個人的に強く思っています。。食品だったら即アウトですよ。


篠笛を取り扱う、楽器屋さんや太鼓屋さんには改めて調律笛の種類に関する知識不足を認識頂き、(騙すつもりとかないのは分かっています)消費者の手に正しい(=中身と表示が一致している)笛が渡るように売り方を是正してもらいたいです。


あと、Amazonもね・・・商品名っていうか表示がすごいですよね。この間チラっと覗いて笑ってしまいました。

「8本調子(C調)唄物(ドレミ調)」ってなんやねん。

これ思い出すわ笑




消費者には正しい商品情報を知らされる権利、そして商品を選ぶ権利があるはずです。(もちろん消費者自身が勉強して正しい知識を得る努力も必要)
それがあってこそ正常な取引と言えます。


騙すつもりはないにせよ、結果的に消費者に誤解を招く形で篠笛が販売されている現在の篠笛業界のあり方に疑問を呈します。


篠笛協会という業界団体チックな組織も近年設立されたようですが、この名称混同・誤表記問題についての認識は及んでいるのでしょうか。
ドレミ笛を「唄用」と表記して販売している方が団体の理事に入っているようですので多分、期待はできなさそうです。。。



それでも、数年前と比べれば少しずつですが、唄用とドレミは違うという認識が一般に広まりつつあると肌で感じています。
この流れに乗じて、2019年は正常な表記方法で篠笛が販売される年になることを切に願います。


【関連記事】

私の篠笛

2018/04/24

2018年1月~4月を振り返って

【2018年1月~4月 笛関連で始めたこと・体験したこと】

太鼓と練習する機会を増やす

2018年に入ってから「月5回は響屋(所属している太鼓団体)に行って太鼓メンバーと練習する」ことを自分に課してこれまで継続しています。

初級~上級まで様々なレベルの太鼓クラスメンバーと一緒に練習することは笛吹きとして大変勉強になります。拍ではなく、息で合わせて太鼓と笛の音がうまく重なった時が一番気持ち良い瞬間です。


目覚め一番 指の運動

朝、起床した時に必ず両手の指をほぐすストレッチ運動をしています。
これは以前からやっていますが、今年に入ってからはお囃子を吹くことを前提により滑らかに指がまわるよう意識して実行しています。
指ストレッチは、月イチの練習会でもやり方を教えています。意外と効果あり。


水口囃舎さんによる水口囃子ワークショップ

4月7日・8日 滋賀県からお越しになった水口囃舎さんによる「水口囃子ワークショップ」(響屋主催)に参加しました。(響屋主催)

水口曳山祭、祭りを行う理由、水口神社、曳山、水口囃子の歴史、現在まで伝承されている曲(東西含めて)について等 我々が曲を習う以前にまず知っておかなければならない、祭りの核となる部分のお話を、現地のお祭りで実際にお囃子を奏されている代表の野村さん他 水口囃舎のメンバーの方たちから聞くことが出来て本当に良かったです。曲は「屋台」を習いました。

地元の皆さんが大切にされているオリジナルの形を決して崩さず、シンガポールのメンバーと時間をかけて練習していきたいです。

4/20の水口曳山祭 お疲れ様でした!!


未来のスターとお稽古

今月に入ってからお囃子大好きな5歳児さん(シンガポール人)と時間が合う時に笛の練習をしています。太鼓も笛も素質ありまくり、生まれながらのパフォーマーな彼(イケメン)。
最近買った7本調子の唄用プラ管を持って、「練習しようぜ」って駆け寄ってくるのがたまらん♡
そのうちグングン追い越していってシンガポール人初の篠笛スター奏者になりそうです。



SNSやってないので(アカウントはある)、なかなか日々やっていることをマメにシェアすることがなく、そうこうしているうちに何をやったか本当に忘れてしまいそうなので、振り返ってみました!




〈追記:その後、太鼓の練習も始めました〉 太鼓と私 -「あの感覚」

2018/04/05

海外の篠笛愛好家さんたち

年始の挨拶投稿から昨日の更新(4/4)まで放置状態だった当ブログ。


相変わらずゆっくり更新ですが なんとかやめずに継続しています。


その理由の一つが、最近シンガポール・日本以外からの閲覧者数がぼちぼち増えてきていること。


「ある篠笛好きのつぶやき-北緯一度から-」
ブログ閲覧者数の多い国ランキング

 1 シンガポール
 2 日本
 3 アメリカ合衆国
 4 フランス
 5 ウクライナ
 6 ロシア
 7 ニュージーランド
 8 マレーシア
 9 スペイン
10 オーストラリア


うちのブログは、自慢じゃないですが「篠笛」「海外」等のキーワード検索で探さない限り辿り着けないくらい超マイナーなブログです。周囲にもブログをやってることを言ったことありません(笑)
南国の小さな島の片隅で細々と続けているブログを見つけてくださった方は、相当篠笛が好きな方なのではないかと推察。

実際、年始にブログを読んでくださったフランスの篠笛愛好者の方からご連絡もいただきました。とても嬉しかったです。

実はあのご連絡を頂く前までは、海外からの閲覧者は全部ハッカーだと思っていたんです(笑)

「ウクライナやロシアに篠笛好きがいてはるわけないし、こんなブログ読んでるわけがない。ハッカーや!」
ハッカーが何なのかもよくワカラナイ IT音痴ですが、そう思っていました。


でも今は 「海外にも私と同じように篠笛が好きな人たちがいらっしゃるんだ」と前向きにとらえています。


指導者がいない、一緒に練習・演奏できる相手がいない、篠笛の購入・修理に時間と金銭的コストが余計にかかる、情報が不足している等々、海外で篠笛をされている方たちの悩みは尽きないと思います。それでも篠笛が好きで、何とか続けていらっしゃるのであろう皆さんのことを考えると、「自分も頑張らないとな」と踏ん張る気持ちが湧いてきます。


と、いうわけで続けていきます。



以前軽いノリで描いたのですが案外気にいっている
「たけくん」


P.S.  各国からの「ハッカーじゃないよ」連絡もお待ちしております(笑)



〈フランスの篠笛愛好者さんからメッセージをいただきました!〉
嬉しいこと

2018/01/24

嬉しいこと

新しい年を迎えましたね。

ここ数年、慌ただしく常に何かに追い立てられているような心理状態で過ごしてきましたが、2018年からは穏やかな気持ちで色々なことに取り組んでいけるような気がします。
仕事、篠笛、プライベート共に、周囲にいてくださる人たちを大切に、身の丈にあったことからコツコツと頑張っていこうと思います。


年明けから嬉しいことが一つ。
このブログを読んで下さった海外在住の日本人の方からメッセージをいただきました。
その方も篠笛をされていて、お住いの国で篠笛仲間を増やそうと頑張っていらっしゃるとのこと。国は違えど日本を離れた外国に同志がいらっしゃることを知りとても嬉しく、また励みになりました。


ブログを続けてきて良かったです。
スローペースの更新になりますが、これからも宜しくお願いします。

響屋が入っているビルの屋上
夕方ここで篠笛の練習をするととても気持ち良いです
向かいのオフィスで働く人たちと近隣のコンドの住民に向けて
ガンガン吹いてます(苦情は今のところ来ていません)



〈追記の記事〉
海外の篠笛愛好家さんたち

2017/07/13

充実した日々

日本から帰ってきてからお陰様で出演依頼や問い合わせのメールを結構いただくようになり、忙しくも充実した毎日を送っています。

昨日はジョホール・バルからお越しになった方と打ち合わせを致しました。
少し先になりそうですがとても意義深く、そしてワクワクする素敵な企画が生まれそうです!ついにシンガポール外で公演?!

月末にはまだ本決定ではありませんが、あるイベントで演奏させていただく方向で話が進んでいます。決定次第告知致します。

9月に本決定しているパフォーマンスは私にとってはまた新たな挑戦が待っています。
日本からのプロのゲスト達との異色のコラボ。緊張と期待で胸いっぱいです。
一般の方はご入場できないイベントですので告知は出来ませんが、後日報告させてください。

この他にも水面下で進めている面白い企画があり、上半期から一転して下半期は忙しくなりそうです。


しかし、こんな時こそ調子に乗らず、一つ一つのお仕事に謙虚な気持ちで臨むべしです!