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2016/09/23

落語とやっと繋がったこと

人には何かしら熱狂するものが存在するのではないかと思います。
好きなロックバンドのライブ、応援しているサッカーチームの試合、地元の祭での神輿担ぎ...その事を考えるだけで胸が高鳴り、上気してしまうものは人それぞれにありますね。
私にとってのそれは落語です。
(篠笛は「熱狂」ではなく、もっと穏やかなものです)


落研出身の父親の影響でずいぶん小さな頃から落語を聴いて育ちました。
幼稚園児の時から夜は「枝雀十八番」をゲラゲラ笑いながら一席聴いて、二席目の途中で寝入るのが常でした。

古典の上方落語ばかり聴いていましたから、当然昔の上方言葉がたくさん出て来ます。またカセットテープで聴いていたので、言葉の情報だけで今どういうシーンなのか頭の中で思い浮かべながら噺を理解して楽しんでいました。

「かんてき」という上方言葉がよく話の中に登場し、これは七輪のことを指すのですが、そんなこと幼稚園児が知るよしもなく、ただお茶を沸かすシーンでよく登場するのでその時に必要な「何か」なんだろうなぁと、頭の中で想像する時はそこだけ曖昧に処理されて映し出されるのでした。なんともお粗末なんですが、そういう細部がいい加減であっても落語は子どもの私でも十分「おもろい」と素直に感じることができるエンターテインメントだったのです。


上方落語の面白いのは、噺の中でハメモノ(お囃子や鳴り物)が入るところです。
例えば「愛宕山」の導入部分、(長いので冒頭部分は省略) 旦那が舞妓、太鼓持ちを引き連れて野掛け(ピクニック)に行く道すがらの情景を伝えるところ、


「遠山に霞がたなびぃてレンゲ・タンポポの花盛り。

麦が青々と伸びた中を菜種の花が彩っていろぉといぅ本陽気。

その中をやかましゅ~言ぅてやって来る、

その道中の陽ぉ気なこと」

  
と、噺家が言い終わると下座から「扇蝶」という曲がハメモノで入り、春のにぎやかな情景をBGMでよりはっきり思い浮かばせるというニクい演出が待っているわけです。


噺家の「陽気なこと」をきっかけに下座さんが絶妙のタイミングで入ってくるこの見事な連携プレーに一気にテンションが上がります。


話芸と音楽という異なるものがお互いのタイミングを見合い、絶妙の間を持って交わり合うことで観客の脳裏に噺の世界観、情景を鮮やかに映し出す。ハメモノが入る上方落語はなんといいますか、ジャズセッションを聴いているような高揚感を覚えるのです。

 


私は寄席の開演前の雰囲気が大好きで、特に二番太鼓に能管が入ってこちらのテンションがMAXになったところに、前座の出囃子が始まると感極まって泣く時があります。
これ、一昨年前に東京の新宿末廣亭の夜の部で思いっきりやってしまって、その時は鼻水まで出てしまって大変でした。隣のおじさんは「この姉ちゃんはあの前座と何かあったのか?」って思ったかも知れませんね(笑)


いいんですよ、落語は私にとってビートルズみたいなもんなんです。失神するほど熱狂してるんです。




さて、最近私がはまっていることは、上方落語寄席囃子をひたすら聴きまくることです。
Amazonで「上方落語寄席囃子集」というCDを購入し、通勤途中聴いています。
ハメモノだけではなく、出囃子や擬音囃子(例えば、雨の音や幽霊が出てくる時の効果音を太鼓で表現したもの)も収録されてあり、邦楽器に興味がある人には必見(もとい必聴)の内容です。
篠笛や能管もたくさん寄席囃子に使われていて、気に入った曲は耳コピして練習しています。


自分が好きで憧れていた落語の世界と今自分がやっている篠笛がやっと繋がり、落語にグッと近づいた気がして毎日ウキウキしています。



ハメモノだけではなく、出囃子や擬音囃子(例えば、雨の音や幽霊が出てくる時の効果音を太鼓で表現したもの)も収録されてあり、邦楽器に興味がある人には必見(もとい必聴)の内容です。
何回聴いても飽きない上方寄席囃子集