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2019/11/13

篠笛情報リンクまとめ【篠笛の勉強】

当ブログではこれまで篠笛の関する情報サイトのリンクや書籍の紹介などをしてきましたが、ここでいったん整理しておきたいと思います。



【まとめ一覧表】


書籍名
出版社
概要
(株)篠笛文化研究社
篠笛教本の決定版
サイト名
サイト運営者
概要
伝統芸能アーカイブ&リサーチオフィス – TARO
①教本のダイジェスト版+追加情報満載の篠笛「虎の巻」
(株)篠笛文化研究社
篠笛・祭に関する様々な記事掲載のブログ
(株)篠笛文化研究社
Q&Aと豊富なPDF資料
篠笛フォーラム事務局
玲月流門下生中心の掲示板(外部の方の書き込みも可)
有限会社 日音
笛師 山田藍山 (山田隆)氏のコラム



『日本の音 篠笛事始め』

篠笛奏者・指導者であり、篠笛と祭の研究者でもある玲月流初代 森田玲先生が書かれた篠笛の教本。
篠笛の奏法だけではなく、篠笛という古典楽器の歴史、その構造や発音の原理、さらに日本の音律についてまで網羅されている一冊です。わらべ歌や古歌、祭囃子など二十曲以上の日本の音曲が数字譜で収録されてあり、初心者から上級者まで幅広く読まれている教本です。(A4 102ページ 2,750円+税)

〈紹介記事〉
ついに出た! 篠笛の専門書 篠笛の勉強



講座シリーズ#4「篠笛を知る〜祭が育む日本の音〜」レポート

森田玲先生が2018年11月に京都芸術センターにて話された講義内容をまとめたもの。
『日本の音 篠笛事始め』のダイジェスト版とも言えます。
教本発行後、研究により新たに分かった最新情報も追加されています。
テキストデータだけで18,000文字以上あり、じっくり読み込む内容になっていますので、以下に各章の要点だけまとめておきます。篠笛についてピンポイントで調べものをされたい場合に役立てばと思います。


1.篠笛の発鳴原理と特徴 
〈ここが知りたい〉
  • 篠笛はどこから、どのようにして鳴っている?  
  • リコーダーとの違い
  • 指打ちって?

2.和楽器の分類
〈ここが知りたい〉
  • 和楽器は大きく〇つに分けられる?


3.日本の横笛
〈ここが知りたい〉
  • 篠笛の歴史
  • 篠笛以外の日本の横笛にはどんなものがあるか?
  • 現在確認されている日本最古の横笛は?

4.祭の中の篠笛
〈ここが知りたい〉
  • 篠笛は祭の中でどのような人によって吹かれているのか?

5.三味線と篠笛との出会い
〈ここが知りたい〉
  • 篠笛が三味線と一緒に演奏されるようになったのは何時代?
  • 篠笛が歌舞伎に導入された背景は?
  • 三味線音楽の笛と祭囃子の笛はどう違うの?

6.篠笛の語源
〈ここが知りたい〉
  • 「篠笛」という言葉が使われたのはいつ頃から?
  • ネット情報の誤り
  • 「篠笛」の語源(考察)

7.篠笛の分類
〈ここが知りたい〉
  • 今一度整理しておきたい、篠笛の分類

8.日本十二律と三分損益法
9.日本十二律と西洋12平均律
〈ここが知りたい〉
  • 日本十二律とは?
  • 三分損益法って??
  • 日本十二律と西洋12平均律の違い
  • 日本の音律にAとかBはあるのか???
日本の音律について勉強してみたい方は、8・9章を読んでください。


10.邦楽調(唄用)篠笛の誕生
〈ここが知りたい〉
  • 唄用篠笛は、いつ・誰が考案したの?

11.ドレミの笛の問題点
〈ここが知りたい〉

  • 3つの問題点-指孔配置、日本と西洋の音律の混同、紛らわしい名称

講座シリーズ#4「篠笛を知る〜祭が育む日本の音〜」レポート
篠笛について体系的に学べるかなり貴重な情報源で、しかも無料です。
活用しない手はないと思います。


〈紹介記事〉
篠笛「虎の巻」が公開されました 篠笛の勉強


篠笛草子 〜 ほのかに聞こゆるもいとをかし 〜


篠笛文化研究社運営。篠笛・祭に関する様々な記事掲載のブログです。



篠笛草子サイト内-よくある質問(目次)

篠笛についての初歩的な質問(例・お手入れ方法)から、音律・音階などのちょっと小難しい質問まで答えてくれるページ。豊富なPDF資料も掲載されていて、全て無料でダウンロード出来るので、超便利です。三分損益法や音律について勉強したい方は、9.資料編のリンクをチェックしてみてください。



篠笛フォーラム

玲月流門下生向けの掲示板ですが、一般の方も書き込み可能です。
篠笛小テストとか腕試しにやってみてください。



「音楽教育と伝統音楽」

このブログでも紹介している『日本音楽ことはじめ』の著者 山田隆(山田藍山)さんのコラムページです。山田隆さんは愛知県犬山市の元小学校教諭で、1980年代から小学校の音楽の授業に和楽器を導入し、数多くの子供たちに日本音楽の指導をして来られました。




・・・


以上、ざっとまとめてみました。

授業で和楽器について教える学校の先生
篠笛をこれから始めたい方
篠笛について今一度勉強し直したい方
ステージで篠笛を紹介する演奏者の方


が篠笛について調べものをする際の参考となりましたら幸いです。



シンガポールにも竹はたくさん生えています


2019/04/25

篠笛「虎の巻」が公開されました 篠笛の勉強

こんにちは。久しぶりの更新です。
なんだか最近急に忙しくなってきました。

急遽、篠笛について英語で話すことになりましてスピーチ原稿を書いています。
短いスピーチなのですが、逆に膨大にある篠笛の情報を簡潔にまとめて説明するのも結構ワザが必要で大変です。しかも英語ですし。

演奏もあるので篠笛の練習もしないといけません。体調管理とタイムマネージメントが必要です。

がんばりまーす。

篠笛という名称は五世・福原百之助が名付けた、は本当?「唄用」篠笛の誕生秘話など事実を裏付ける歴史的文献・資料と共に研究・調査結果を無料公開。森田玲先生の渾身のレポート。篠笛に関わる者は必読です。篠笛を知る~祭が育む日本の音~レポート【ある篠笛好きのつぶやき-北緯一度から-】シンガポール在住の篠笛愛好者のブログです。A Shinobue, Japanese bamboo Flute lover in Singapore

忙しさのあまりに、超重要なことをお伝えできずにいました。
遅ればせながら情報をシェアさせていただきます。



森田玲先生が、昨年秋に京都芸術センターでお話された、
講座「篠笛を知る〜祭が育む日本の音〜」のレポートTARO(伝統芸能アーカイブ&リサーチオフィス) のウェブサイトにアップされました。



講座シリーズ#4「篠笛を知る〜祭が育む日本の音〜」レポート | 伝統芸能アーカイブ&リサーチオフィス - TARO

これは言ってみたら篠笛「虎の巻」です。

篠笛で分からないことはこのサイトへ行って調べたら大概答えが載ってます。
逆にここに載ってないことは、まだ調査中で解明されていないと思っておいたほうがよいです。


例えば皆さん、以下の質問の答えわかりますか?

① 篠笛の音はどこから鳴ってる?
② 篠笛の「篠」ってどういう意味?
③ 日本で一番古い横笛(現在確認されている限りで)はいつの時代のもの?
④「篠笛」はどのような人たちによって吹かれてきたか?
⑤「篠笛」という名称は五世・福原百之助氏が名付けた? はい/いいえ
⑥「唄用」篠笛が誕生したのはいつ? 誰によって考案・完成された?


答えは全部「虎の巻」にあります。

①~④は既に知っている、もしくはググったり書物を調べれば答えが見つかるかも知れませんが、⑤に関しては誤った情報がネット中を駆け巡っており、困ったことにそれが通説となっておりますので要注意です。私も篠笛をやり始めた当初、ネット情報を鵜呑みにしておりました。
「虎の巻」に正しい答えとその証拠となる歴史的文献・資料が掲載されておりますので、これまで間違って認識されていた方はご訂正のほど。

⑥は答えをご存知の方も多いとは思いますが、「唄用」篠笛の誕生秘話まで把握されている人は少ないのでは?こちらも、妄想・憶測ではなくきちんと調査し、裏を取られた上で情報を公開されていますので必見です。

また、日頃からこちらのブログで取り上げております、日本の音律と西洋の音律についてもこちらのサイトでかなり詳しく解説されております。


森田先生の篠笛人生20年の集大成レポートですのでボリュームはかなり多いですが、各章ごと少しずつ読むなり、分からないことが出てきたときにサイトに行ってピンポイントで調べるなり、積極的に勧めはしませんが印刷も出来るので印刷して資料として持ち歩くなり、とにかく篠笛をやっている人、そして和楽器に携わっている人にもフル活用していただきたいです。

なんせ、篠笛と祭に人生捧げてきた人の渾身のレポートがお金を出さずに無料で読めるんです。これってすごくないですか?
調査・研究に投じたお金と時間と労力(掲載されている歴史的文献・資料を集めるだけでもどれだけお金がかかっているか…)を考えるだけでも、このレポートが無料公開されていることは奇跡に近いと思います。


再度、こちらにリンクを貼っておきますね。

http://traditional-arts.org/report/2019/04/02/594/

ブラウザのお気に入りに登録しておくことをオススメします。

このブログの「知っておくと便利なリンクリスト」(PCバージョンをご覧の場合のみ表示されます)にも追加しておきました。


それではまた。
スピーチと演奏の準備をしまーす。



〈あわせて読んで欲しい記事〉

篠笛の勉強
ついに出た! 篠笛の専門書 篠笛の勉強

2019/03/01

私の篠笛

英語版ブログの記事でも書いたのですが、今日は私が普段吹いている篠笛をご紹介します。


というか、なんで今までこれを書こうと思わなかったんでしょう。


まずは、古典調から。


大きく芯のある音が出ます

「京師 - みやこ -」古典調(お囃子用)六本調子 総巻


日本十二律調音篠笛。古典的な雅楽の横笛の音階に近い。
お囃子を吹く時はこれです。

「京師 - みやこ -」(以下「京師」)の古典調は太鼓の爆音を物ともしない、大きく芯のある音がスパーーーンと出ます。
管が太いので吹き手の息量、技量、スタミナをものすごく問われます。
調子悪い時は、全然鳴らない...修行の足りなさを感じさせてくれるシビアな笛です。

私はこれで奏でる「さくら」が味があって好きだったりします。



お次は、こちら。


  

「京師 - みやこ -」邦楽調(唄用)上から六本調子、七本調子、八本調子  天地巻



日本十二律調音篠笛。指穴の配置が自然で、指(特に右小指)に変な負担をかけずに無理なく指回しが出来るように作られています。


日本古歌、わらべ歌、民謡を吹く時は主にこちらの邦楽調(唄用)笛を使います。
太鼓と演奏する時に使うこともあります。


私は長唄は吹きませんが、元々この唄用篠笛は、長唄に代表される三味線音楽
と合わせやすいように昭和初期に考案されたものと理解しています。


「京師」の邦楽調(唄用)笛は、可愛らしい音が出たり、艶っぽい音が鳴ったり、そうかと思ったら古典調に負けないくらいパワーある音を放ったり表情豊かなところが好きです。


左から古典調六本調子、邦楽調六本調子、七本調子、八本調子
私の邦楽調八本調子には数字が入っていないのです。ちょっとめずらしいでしょ?


京師の焼印


「京師」を使い続けてもう丸3年が経ちます。
何度かこのブログで触れているように、私は元々ドレミ笛から篠笛を始めて、篠笛歴2年目の時に「京師」に出会って脱ドレミを果たしました。


邦楽調(唄用)へ乗り換えた一番の理由は、指穴の配置が身体に負担をかけない作りになっていたこと。ドレミ笛を吹いていて指、手首、肩が慢性的に痛いと感じていたので、邦楽調(唄用)篠笛を構えた瞬間、まずその痛みから解放されたと思いました。


上が古典調、下の三管が邦楽調
歯並び(指孔並び)が良いですね
指孔並びが均一に近くて美しいことを私は
個人的に「歯並びが良い」と表現してます


二番目の理由は、その時に出会った「京師」の八本調子(上写真の管頭に数字がないもの)が本当に本当に美しくて、可愛くて、この笛を「愛でたい」と感じたからでした。これまで、ドレミ笛を見た時に、その笛の造形が美しいと感じたことは全く無かったのですが、この唄用の八本調子笛はこれまで見たどの笛よりも美しいと一目見て思いました。すっかり魅了されてしまい、手放せなくなってしまったのです。未だに世界一美人な篠笛と思っています。


彼女を褒め称えた記事↓↓↓


もちろん、日本十二律で作られていることも乗り換えた理由の大きな一つです。


と、いうか、

唄用の篠笛というのは本来は日本の音律に基づいて作られるのが然るべきであって、そうでない12平均律(ドレミ)で調律されている笛を「唄用」や「歌物」などと称して流通させている今の篠笛業界が普通ではない

ということを今一度書いておきます。


西洋楽器と一緒に演奏するため、西洋の音律を用いた音曲 (洋楽に限らずアニソン、J-POP等もこれに入る)を演奏するために、12平均律で調律して作られた笛であるなら、

「唄用」「歌物」など、和っぽい、伝統を感じさせるような名前をつけて販売することは消費者を混乱させるのでやめて頂きたい。



いや、そもそもね、唄用の篠笛って三味線音楽(歌舞伎音楽)の世界で考案・作成され、後にそれが「唄用篠笛」と呼ばれるようになった
(出典:http://shinobue.blog.jp/archives/14457490.html )んですから、ドレミの笛がその名称を乗っ取るようなことしたらダメでしょう・・・
篠笛業界のビジネスモラルってどうなっているのでしょう。


うーん...何らかの悪意が働いて現状こうなっているというよりは、ただただ「知らなかった」、「認識が曖昧」なままここまで来た、というところなのでしょうか。でも、ものを作って売っている限り「知らなかった」は通用しないと思います。

ボヤきモードに入ってしまいそうなのでこの辺にしときます。ひゃー(汗)

この件でボヤいている記事↓↓↓


唄用篠笛・ドレミ笛問題 一般消費者から言いたいこと

「京師」を選んだ理由の大きな一つが、日本の音律で作られている、ということに変わりないのですが、考えてみたら「日本の音律で作られているから○○の篠笛を選びました」ってなんかおかしな言い回しですよね。


日本の音律じゃなくて、どこの音律に沿って作るんですか?


篠笛ってどこの国の民族楽器なんですか?


って、ツッコミ所がいっぱいあります。


自分で書いてて違和感ありまくりでした(笑)
日本の民族楽器である篠笛が日本の音律で作られている、これがスタンダートとなる日が戻って来て欲しいです。



さて、「京師」以外に私が持っている篠笛もご紹介します。



獅子田 竹渓 古典調(囃子用)六本調子
朗童     古典調(囃子用)六本調子
雲雀     邦楽調(唄用)   八本調子



「獅子田」は「京師」の古典に慣れてきてからはめっきり使わなくなりましたが、「獅子田」の軽やかな指打ち音は大好きです。

「朗童」は水口囃子を吹く時に使っています。ちょっと吹きこなすのに苦戦中。

「雲雀」は以前ブログでご紹介しましたよね。↓↓↓

「邦楽調 雲雀」を吹いてみた  篠笛レビュー
https://shinobuesingapore.blogspot.com/2019/01/blog-post_7.html



皆さんは、どんな笛を吹いていらっしゃいますか?(^^)



以上、私の篠笛でした。

2019/01/07

「邦楽調 雲雀」を吹いてみた  篠笛レビュー

昨年の秋に日本へ帰った際に、大塚竹管楽器さんが新しく出された邦楽調(唄用)の篠笛を購入しました。


前々回のブログ記事でも触れておりました、「邦楽調 雲雀」(ほうがくちょう ひばり)です。


大塚竹管楽器さんの邦楽調(唄用)篠笛
雲雀


このところ忙しかったのですが、ようやく色んなことが一段落ついて時間が出来たので久しぶりにスタジオを押さえて篠笛の練習。そこで「雲雀」も吹いてみました。


知り合いのミュージシャンに紹介してもらった
ドラマー専用のスタジオ

個室練習部屋
ドラムセットを前に篠笛の練習をしています笑

このドラムスタジオの個室練習部屋は、利用料S$15/1時間とお手頃。
月契約するとS$120で朝の8:00から深夜0:00の間使い放題でかなりお得。
重宝しています。



話を本題に戻しますと、
この「雲雀」は"歌舞伎囃子や三味線などの相性を考えて作られた笛"と大塚竹管楽器さんのウェブサイトに書かれてあります。

これは何がポイントかと言うと、

「雲雀」はこれまで大塚竹管楽器さんが作られていた、そして今ももちろん作られている、洋楽調(ドレミ調)笛の「東雲」とは異なる、日本の調律で作られた笛である

ということです。「東雲」とは別物です。


以下大塚竹管楽器ウェブサイトより抜粋

"長唄などに使われ、篠笛本来の美しい響きを損なわない伝統的な調律をしています。
長唄をはじめ民謡やわらべ唄など日本に伝わる多くの曲を演奏するのに適しています。"

つまり、本来の意味での「唄用」の笛が、大塚さんのところで新たに製作・販売されることになり、それが「雲雀」に当たります。


笛を長くされている方でも勘違いしていらっしゃる方が多くて、私は3、4年ほど前に「東雲」を吹かれている人に、「東雲」はドレミで調律されている笛と申し上げたのですが、その方はご自身が持っておられるのは、唄用の笛だと仰いました。
これは無理もない反応でして、実際 楽器屋さんへ行ったら、「唄用/唄物」って書いて売られてますから、買った方からしたら唄用と認識しますよね。
まぁ、でもその頃は、大塚竹管楽器さんからは篠笛に関しては、古典調「獅子田」とドレミ調「東雲」しか出していませんでしたから、唄用の笛ではないんです。。。


「邦楽調 雲雀」八本調子 七穴 両籐巻


そんな訳で、昨年に大塚竹管楽器さんが唄用の笛を出されたことは私にとっては、お?!となるニュースでした。
ウェブサイトを拝見すると、「獅子田」は古典調、「雲雀」は邦楽調(唄用)、そしてこれまで作ってこられたドレミ調の笛「東雲」を洋楽調(ドレミ調)と、分かりやすく区別・明記して販売されておられます。前回のブログで私がぶーぶー文句を言っていた誤表記問題が起きないような打ち出し方をされて、それも良いことだなぁと感じておりました。

【前回のブログ記事】
唄用篠笛・ドレミ笛問題 一般消費者から言いたいこと


あとは、代理店、楽器屋、太鼓屋さんに卸して販売される際にどう表示されるかです。その点も今後注目したいです。


私個人は、専ら「京師」しか使いませんが、「雲雀」はシンガポールで篠笛を頑張っている仲間への情報提供のためにも是非吹いてみたいと思っておりました。
なんと言っても、一管13,500円~とこちらの人が買い求めやすいお値段なんです。



そんな「雲雀」を実際に購入して吹いてみた感想を書いてみます。


「邦楽調 雲雀」八本調子 七穴 両籐巻 13,500円


指に負担をかけない指孔の配置

購入前に一番気になったのは指孔の配置ですが、指に変な負担をかけずに自然に
全ての指孔を塞ぐことが出来ました。これは女性や子どもにとっても運指が楽です。


上:京師 邦楽調(唄用)八本調子
下:雲雀 邦楽調(唄用)八本調子

細い

「京師」と比較すると細いです。八本調子だから余計にそう感じるのかも知れません。最初、「京師」と同じ要領で吹いた為、音割れしてしまいました。これは笛云々ではなく、息の吹き込み方、息の量を自分が調整することで解決しました。数分吹き続けていたら慣れてきます。

逆に言うと、初心者の方や息の量があまり多くないお子さまでも鳴らしやすい笛だと思います。


左が雲雀で右が京師

軽い

竹の材質もあるのでしょうか、あと管が細いので持った瞬間、軽いと感じました。


筒音が鳴らしやすい

全ての指孔を無理なく塞ぐことが出来るので、筒音が鳴らしやすいです。
また、細い笛なのに低音もばっちり鳴ります。


高音がとてもキレイ指打ちの歯切れが良い

さすがお囃子の笛を長く作られているだけあって、高音の響きが非常に良くて吹いていて気持ちが良いです。また、指打ちしやすく、打った時の音の歯切れの良さも、「獅子田」を彷彿させます。


唇の位置は気をつけて

歌口に唇を乗せる時、深く乗せると音がうまく鳴らないかも知れません。
浅め(というかほんの僅か)に乗せると良い音が出ると思います。


まとめ

「雲雀」は鳴らしやすくて価格もリーズナブルですから、初心者の方やプラ管から竹管に買い替えをお考えの方にもおすすめです。

あと、既に「東雲」や他のドレミ笛を吹かれてる方も、唄用の笛ってどんなん?ってことで試されても良いかも知れません。

ドレミ笛→唄用に持ち替えた時に実感するのは、やはり指孔の位置の違いではないかと思います。
今回の八本調子では分かりにくいですが、六本調子とかもっと長い笛になってくると、唄用の笛は第一孔でも小指が普通に届きますから、指回しが楽だと感じられるでしょう。



歌口



指孔

以上、「邦楽調 雲雀」を吹いてみた、でした。



後日談:この記事を読まれた大塚竹管楽器さんからメールをいただきました!
大塚竹管楽器さんからメールを頂戴しました!

2019/01/02

唄用篠笛・ドレミ笛 誤表記問題 一般消費者から言いたいこと

気がつけば2019年です。
明けましておめでとうございます。


相変わらず表立って演奏活動はしておりませんが、ちょこちょこどこかしらに出没して笛は吹いております。


年末年始も篠笛三昧です。練習もそうなんですが、どちらかと言うと篠笛の勉強漬けの毎日です。過去に読んだ本や資料をもう一度読み込んだり、新たに分からないことを調べたり(海外在住なのでGoogle先生に頼っているところが大きいのですが…)と、毎日篠笛のことを考えて過ごしています。自分の好きなことですので全然苦ではないです。



昨年は、唄用篠笛とドレミの笛問題でちょっと進展があったように思えた年でした。
篠笛奏者さんのFBやブログをマメにチェックされている方はピンと来るかも知れませんが、ドレミ笛を吹かれている篠笛奏者さん達の中にも、ドレミの笛は唄用・唄物の篠笛ではない、という認識を持ち始めた方が出てきたことが外野からも見てとれます。良い流れだと思います。



ドレミの笛が「唄用」「唄物」篠笛と表記されて売られている誤表記問題。大変紛らわしく、消費者にはたまったものではありません。一刻も早い名称統一が望まれます。消費者である我々篠笛愛好家の手に中身と表示が一致した「正しい商品」が渡る日が来ますように。

「えっ!唄用=ドレミじゃないの?!」と思われた方は、その違いについて詳しく解説された記事のリンクを貼っておきましたので先にこちらをお読みになってください。

↓↓↓

唄用(邦楽調)篠笛とドレミの笛の違いについて(改)
篠笛奏者 森田玲先生のブログ「篠笛草子 〜 ほのかに聞こゆるもいとをかし 〜」より

さて、ドレミ笛は唄用笛とは違う。それは自分的にはもう当たり前過ぎるんですけど、篠笛を始めて一年位は私も全然分かっていませんでした。だから、笛屋さんが「唄用」と表示して売っている「ドレミ」の笛を疑いなしに「唄用」だと思って数管購入したこともあります。

知らなかったとは言え、今から考えたら本当にお金がもったいない・・・


でもその後、本物の唄用篠笛に出会って、ドレミ笛と見比べ、持ち比べ、吹き比べしていくうちに、唄用とドレミ笛は似て非なるものであるという結論に自分の中で至り、私が吹きたい音楽を追求するならばドレミ笛ではなく唄用笛でいきたいと最後は自分自身でそう決めて前に進むことが出来たので、回り道にはなったけれどいい勉強になったなぁと思っています。
ドレミ笛→唄用笛に移行した際は、ドレミ笛の時の持ち方の悪いクセが抜けきれなくて一時的に音が出なくなったこともありました。焦りましたし、凹みましたけど、正しい持ち方で吹くうちにキレイな音が鳴るようになりました。
ああ、それももう懐かしい過去の思い出です。(しみじみ)


とは言え、イチ消費者の立場からすれば、ドレミの笛を唄用・唄物と表記して販売することは「誤表記」以外の何物でもなく、このような消費者にとって紛らわしい表記の使用はあってはならないと個人的に強く思っています。。食品だったら即アウトですよ。


篠笛を取り扱う、楽器屋さんや太鼓屋さんには改めて調律笛の種類に関する知識不足を認識頂き、(騙すつもりとかないのは分かっています)消費者の手に正しい(=中身と表示が一致している)笛が渡るように売り方を是正してもらいたいです。


あと、Amazonもね・・・商品名っていうか表示がすごいですよね。この間チラっと覗いて笑ってしまいました。

「8本調子(C調)唄物(ドレミ調)」ってなんやねん。

これ思い出すわ笑




消費者には正しい商品情報を知らされる権利、そして商品を選ぶ権利があるはずです。(もちろん消費者自身が勉強して正しい知識を得る努力も必要)
それがあってこそ正常な取引と言えます。


騙すつもりはないにせよ、結果的に消費者に誤解を招く形で篠笛が販売されている現在の篠笛業界のあり方に疑問を呈します。


篠笛協会という業界団体チックな組織も近年設立されたようですが、この名称混同・誤表記問題についての認識は及んでいるのでしょうか。
ドレミ笛を「唄用」と表記して販売している方が団体の理事に入っているようですので多分、期待はできなさそうです。。。



それでも、数年前と比べれば少しずつですが、唄用とドレミは違うという認識が一般に広まりつつあると肌で感じています。
この流れに乗じて、2019年は正常な表記方法で篠笛が販売される年になることを切に願います。


【関連記事】

私の篠笛

2016/09/28

篠笛の勉強

篠笛愛好者にお薦めのブログがあります。



※上記ブログはリニューアルされ、下記にお引越しされました。↓↓↓
篠笛草子 〜 ほのかに聞こゆるもいとをかし 〜

書いてらっしゃるのは、篠笛奏者の玲月流 初代 森田 玲先生です。



森田 玲(もりた あきら、1976年2月3日 - )は、大阪府出身の篠笛奏者。


大阪府立岸和田高等学校卒業。京都大学農学部中退。後、再入学を果たし2012年に卒業。京都大学農学研究科(大学院)に進学。篠笛の演奏・指導・製作・調査研究を行う株式会社「篠笛文化研究社」<旧「民の謡」(たみのうた)>代表取締役。篠笛民俗文化研究会会長。生き物文化誌学会、社叢学会。平成24年・第67回文化庁芸術祭大衆芸能部門・新人賞受賞。平成26年度・京都市芸術文化特別奨励者・認定。平成25年「玲月流(れいげつりゅう)-篠笛」を立ち上げる。


森田先生は篠笛奏者・指導者としてだけではなく、篠笛の研究者としても私が大変尊敬している方で、篠笛と、その出自である祭(神事・神賑行事)についての造詣の深さで右に出るものはいないと思います。
海外で篠笛を始めたが故にすっぽり抜けている篠笛や祭に関する知識を森田先生のブログと著書 からかなり補っています。


内容は結構難しいので、サラッと読み流す感じのブログではなく、じっくりと読み込んでいく必要があると思います。それだけ情報量が豊富なんです。

本当に古来から伝わる日本音楽を篠笛で表現したいと思っている人、自分の音色に「何か足りない」と感じている人、祭のことも良く理解した上でお囃子を吹きたい人、民俗学が好きな人、「和風」って言葉が嫌いな人(笑)、本物志向な人には是非読んでもらいたいです。



その中でもお薦めの記事はこちらです。

どの笛を選ぶ?日本の篠笛と、その亜流・・・
(旧ブログから)

唄用(邦楽調)篠笛とドレミの笛の違いについて(改)
(現在のブログから)

初めて先生にお会いした時に、記事の内容を説明いただき、唄用篠笛ドレミ笛の違いについて教わりました。
そこで、自分が唄用と思って吹いていた笛がドレミ笛だったと言うことも知りました。
ショックでしたが、篠笛のことをちゃんと勉強しようと思う大きな転機となり、その後 私の篠笛との向き合い方、音の出し方は大きく変わりました。



海外に住んでいる事と、今自分が置かれている環境下では現実的にすぐには叶えられないことも多くあるのですが、「自分が篠笛で本当に吹きたいものはこれなんだ!」という核の部分を見失わないよう導いてくれるブログでもあります。


長年の篠笛と祭の研究に基づいた正確な情報を惜しげもなく無料で公開されています。
篠笛に関するよくある質問と運指表や音律等ついての詳細な資料が全てここにまとめられています。→ http://shinobue.blog.jp/archives/cat_302136.html

ご自身が持たれている篠笛という和楽器のことをもっとお知りになりたい方はご覧になってください。



〈追記〉
森田玲先生が篠笛の教本を出されました。

ついに出た! 篠笛の専門書 篠笛の勉強
教本のダイジェスト版+追加情報満載の篠笛「虎の巻」紹介記事
篠笛「虎の巻」が公開されました 篠笛の勉強