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2019/11/13

篠笛情報リンクまとめ【篠笛の勉強】

当ブログではこれまで篠笛の関する情報サイトのリンクや書籍の紹介などをしてきましたが、ここでいったん整理しておきたいと思います。



【まとめ一覧表】


書籍名
出版社
概要
(株)篠笛文化研究社
篠笛教本の決定版
サイト名
サイト運営者
概要
伝統芸能アーカイブ&リサーチオフィス – TARO
①教本のダイジェスト版+追加情報満載の篠笛「虎の巻」
(株)篠笛文化研究社
篠笛・祭に関する様々な記事掲載のブログ
(株)篠笛文化研究社
Q&Aと豊富なPDF資料
篠笛フォーラム事務局
玲月流門下生中心の掲示板(外部の方の書き込みも可)
有限会社 日音
笛師 山田藍山 (山田隆)氏のコラム



『日本の音 篠笛事始め』

篠笛奏者・指導者であり、篠笛と祭の研究者でもある玲月流初代 森田玲先生が書かれた篠笛の教本。
篠笛の奏法だけではなく、篠笛という古典楽器の歴史、その構造や発音の原理、さらに日本の音律についてまで網羅されている一冊です。わらべ歌や古歌、祭囃子など二十曲以上の日本の音曲が数字譜で収録されてあり、初心者から上級者まで幅広く読まれている教本です。(A4 102ページ 2,750円+税)

〈紹介記事〉
ついに出た! 篠笛の専門書 篠笛の勉強



講座シリーズ#4「篠笛を知る〜祭が育む日本の音〜」レポート

森田玲先生が2018年11月に京都芸術センターにて話された講義内容をまとめたもの。
『日本の音 篠笛事始め』のダイジェスト版とも言えます。
教本発行後、研究により新たに分かった最新情報も追加されています。
テキストデータだけで18,000文字以上あり、じっくり読み込む内容になっていますので、以下に各章の要点だけまとめておきます。篠笛についてピンポイントで調べものをされたい場合に役立てばと思います。


1.篠笛の発鳴原理と特徴 
〈ここが知りたい〉
  • 篠笛はどこから、どのようにして鳴っている?  
  • リコーダーとの違い
  • 指打ちって?

2.和楽器の分類
〈ここが知りたい〉
  • 和楽器は大きく〇つに分けられる?


3.日本の横笛
〈ここが知りたい〉
  • 篠笛の歴史
  • 篠笛以外の日本の横笛にはどんなものがあるか?
  • 現在確認されている日本最古の横笛は?

4.祭の中の篠笛
〈ここが知りたい〉
  • 篠笛は祭の中でどのような人によって吹かれているのか?

5.三味線と篠笛との出会い
〈ここが知りたい〉
  • 篠笛が三味線と一緒に演奏されるようになったのは何時代?
  • 篠笛が歌舞伎に導入された背景は?
  • 三味線音楽の笛と祭囃子の笛はどう違うの?

6.篠笛の語源
〈ここが知りたい〉
  • 「篠笛」という言葉が使われたのはいつ頃から?
  • ネット情報の誤り
  • 「篠笛」の語源(考察)

7.篠笛の分類
〈ここが知りたい〉
  • 今一度整理しておきたい、篠笛の分類

8.日本十二律と三分損益法
9.日本十二律と西洋12平均律
〈ここが知りたい〉
  • 日本十二律とは?
  • 三分損益法って??
  • 日本十二律と西洋12平均律の違い
  • 日本の音律にAとかBはあるのか???
日本の音律について勉強してみたい方は、8・9章を読んでください。


10.邦楽調(唄用)篠笛の誕生
〈ここが知りたい〉
  • 唄用篠笛は、いつ・誰が考案したの?

11.ドレミの笛の問題点
〈ここが知りたい〉

  • 3つの問題点-指孔配置、日本と西洋の音律の混同、紛らわしい名称

講座シリーズ#4「篠笛を知る〜祭が育む日本の音〜」レポート
篠笛について体系的に学べるかなり貴重な情報源で、しかも無料です。
活用しない手はないと思います。


〈紹介記事〉
篠笛「虎の巻」が公開されました 篠笛の勉強


篠笛草子 〜 ほのかに聞こゆるもいとをかし 〜


篠笛文化研究社運営。篠笛・祭に関する様々な記事掲載のブログです。



篠笛草子サイト内-よくある質問(目次)

篠笛についての初歩的な質問(例・お手入れ方法)から、音律・音階などのちょっと小難しい質問まで答えてくれるページ。豊富なPDF資料も掲載されていて、全て無料でダウンロード出来るので、超便利です。三分損益法や音律について勉強したい方は、9.資料編のリンクをチェックしてみてください。



篠笛フォーラム

玲月流門下生向けの掲示板ですが、一般の方も書き込み可能です。
篠笛小テストとか腕試しにやってみてください。



「音楽教育と伝統音楽」

このブログでも紹介している『日本音楽ことはじめ』の著者 山田隆(山田藍山)さんのコラムページです。山田隆さんは愛知県犬山市の元小学校教諭で、1980年代から小学校の音楽の授業に和楽器を導入し、数多くの子供たちに日本音楽の指導をして来られました。




・・・


以上、ざっとまとめてみました。

授業で和楽器について教える学校の先生
篠笛をこれから始めたい方
篠笛について今一度勉強し直したい方
ステージで篠笛を紹介する演奏者の方


が篠笛について調べものをする際の参考となりましたら幸いです。



シンガポールにも竹はたくさん生えています


2019/04/25

篠笛「虎の巻」が公開されました 篠笛の勉強

こんにちは。久しぶりの更新です。
なんだか最近急に忙しくなってきました。

急遽、篠笛について英語で話すことになりましてスピーチ原稿を書いています。
短いスピーチなのですが、逆に膨大にある篠笛の情報を簡潔にまとめて説明するのも結構ワザが必要で大変です。しかも英語ですし。

演奏もあるので篠笛の練習もしないといけません。体調管理とタイムマネージメントが必要です。

がんばりまーす。

篠笛という名称は五世・福原百之助が名付けた、は本当?「唄用」篠笛の誕生秘話など事実を裏付ける歴史的文献・資料と共に研究・調査結果を無料公開。森田玲先生の渾身のレポート。篠笛に関わる者は必読です。篠笛を知る~祭が育む日本の音~レポート【ある篠笛好きのつぶやき-北緯一度から-】シンガポール在住の篠笛愛好者のブログです。A Shinobue, Japanese bamboo Flute lover in Singapore

忙しさのあまりに、超重要なことをお伝えできずにいました。
遅ればせながら情報をシェアさせていただきます。



森田玲先生が、昨年秋に京都芸術センターでお話された、
講座「篠笛を知る〜祭が育む日本の音〜」のレポートTARO(伝統芸能アーカイブ&リサーチオフィス) のウェブサイトにアップされました。



講座シリーズ#4「篠笛を知る〜祭が育む日本の音〜」レポート | 伝統芸能アーカイブ&リサーチオフィス - TARO

これは言ってみたら篠笛「虎の巻」です。

篠笛で分からないことはこのサイトへ行って調べたら大概答えが載ってます。
逆にここに載ってないことは、まだ調査中で解明されていないと思っておいたほうがよいです。


例えば皆さん、以下の質問の答えわかりますか?

① 篠笛の音はどこから鳴ってる?
② 篠笛の「篠」ってどういう意味?
③ 日本で一番古い横笛(現在確認されている限りで)はいつの時代のもの?
④「篠笛」はどのような人たちによって吹かれてきたか?
⑤「篠笛」という名称は五世・福原百之助氏が名付けた? はい/いいえ
⑥「唄用」篠笛が誕生したのはいつ? 誰によって考案・完成された?


答えは全部「虎の巻」にあります。

①~④は既に知っている、もしくはググったり書物を調べれば答えが見つかるかも知れませんが、⑤に関しては誤った情報がネット中を駆け巡っており、困ったことにそれが通説となっておりますので要注意です。私も篠笛をやり始めた当初、ネット情報を鵜呑みにしておりました。
「虎の巻」に正しい答えとその証拠となる歴史的文献・資料が掲載されておりますので、これまで間違って認識されていた方はご訂正のほど。

⑥は答えをご存知の方も多いとは思いますが、「唄用」篠笛の誕生秘話まで把握されている人は少ないのでは?こちらも、妄想・憶測ではなくきちんと調査し、裏を取られた上で情報を公開されていますので必見です。

また、日頃からこちらのブログで取り上げております、日本の音律と西洋の音律についてもこちらのサイトでかなり詳しく解説されております。


森田先生の篠笛人生20年の集大成レポートですのでボリュームはかなり多いですが、各章ごと少しずつ読むなり、分からないことが出てきたときにサイトに行ってピンポイントで調べるなり、積極的に勧めはしませんが印刷も出来るので印刷して資料として持ち歩くなり、とにかく篠笛をやっている人、そして和楽器に携わっている人にもフル活用していただきたいです。

なんせ、篠笛と祭に人生捧げてきた人の渾身のレポートがお金を出さずに無料で読めるんです。これってすごくないですか?
調査・研究に投じたお金と時間と労力(掲載されている歴史的文献・資料を集めるだけでもどれだけお金がかかっているか…)を考えるだけでも、このレポートが無料公開されていることは奇跡に近いと思います。


再度、こちらにリンクを貼っておきますね。

http://traditional-arts.org/report/2019/04/02/594/

ブラウザのお気に入りに登録しておくことをオススメします。

このブログの「知っておくと便利なリンクリスト」(PCバージョンをご覧の場合のみ表示されます)にも追加しておきました。


それではまた。
スピーチと演奏の準備をしまーす。



〈あわせて読んで欲しい記事〉

篠笛の勉強
ついに出た! 篠笛の専門書 篠笛の勉強

2019/03/04

WikipediaでShinobueを検索したらエライことになってた


無謀にも英語版ブログを立ち上げてしまったお陰で、海外で篠笛のことがどのように紹介されているのかが気になり、ネット上で色々と検索している今日この頃。


‘Wikipediaの英語版で試しに"Shinobue"を検索してみたら、ぶっ倒れそうな内容でした。



色々とツッコミどころ満載ですが、英語版 某インターネット百科事典では、
「篠笛はお能で吹かれている」ことになっています。ええ~?!


また、「唄用笛は西洋の音階に沿ってきちんと調律されている」「お囃子用の笛はピッチが正しくない」んだそうです。あちゃぁー・・・


もう、びっくりでしょ?



Wikipediaは、有志の方がボランティアで編集して作られているものですし、記述されている情報の信頼性とか信憑性は保証されていないことをユーザーが承知した上で利用するものですから、ごちゃごちゃ言うこと自体ナンセンスなのかも知れませんが・・・


それにしたってひどいですよ。

さらに悪いことに、この"Shinobue"の記述がコピペされてネット上で結構出回っているんです。


これ、なんとか出来ないものなのでしょうかねぇ。

篠笛ってかなりルーツが古い日本の民族楽器なので、こういう風に海外で認知されていることを知って悲しくなりました。。。


そして、やっぱりネット検索だけに情報収集を頼ることの危険性も感じました。



最近あったショックなことだったので、忘れないように記しておきます。


2019/03/01

私の篠笛

英語版ブログの記事でも書いたのですが、今日は私が普段吹いている篠笛をご紹介します。


というか、なんで今までこれを書こうと思わなかったんでしょう。


まずは、古典調から。


大きく芯のある音が出ます

「京師 - みやこ -」古典調(お囃子用)六本調子 総巻


日本十二律調音篠笛。古典的な雅楽の横笛の音階に近い。
お囃子を吹く時はこれです。

「京師 - みやこ -」(以下「京師」)の古典調は太鼓の爆音を物ともしない、大きく芯のある音がスパーーーンと出ます。
管が太いので吹き手の息量、技量、スタミナをものすごく問われます。
調子悪い時は、全然鳴らない...修行の足りなさを感じさせてくれるシビアな笛です。

私はこれで奏でる「さくら」が味があって好きだったりします。



お次は、こちら。


  

「京師 - みやこ -」邦楽調(唄用)上から六本調子、七本調子、八本調子  天地巻



日本十二律調音篠笛。指穴の配置が自然で、指(特に右小指)に変な負担をかけずに無理なく指回しが出来るように作られています。


日本古歌、わらべ歌、民謡を吹く時は主にこちらの邦楽調(唄用)笛を使います。
太鼓と演奏する時に使うこともあります。


私は長唄は吹きませんが、元々この唄用篠笛は、長唄に代表される三味線音楽
と合わせやすいように昭和初期に考案されたものと理解しています。


「京師」の邦楽調(唄用)笛は、可愛らしい音が出たり、艶っぽい音が鳴ったり、そうかと思ったら古典調に負けないくらいパワーある音を放ったり表情豊かなところが好きです。


左から古典調六本調子、邦楽調六本調子、七本調子、八本調子
私の邦楽調八本調子には数字が入っていないのです。ちょっとめずらしいでしょ?


京師の焼印


「京師」を使い続けてもう丸3年が経ちます。
何度かこのブログで触れているように、私は元々ドレミ笛から篠笛を始めて、篠笛歴2年目の時に「京師」に出会って脱ドレミを果たしました。


邦楽調(唄用)へ乗り換えた一番の理由は、指穴の配置が身体に負担をかけない作りになっていたこと。ドレミ笛を吹いていて指、手首、肩が慢性的に痛いと感じていたので、邦楽調(唄用)篠笛を構えた瞬間、まずその痛みから解放されたと思いました。


上が古典調、下の三管が邦楽調
歯並び(指孔並び)が良いですね
指孔並びが均一に近くて美しいことを私は
個人的に「歯並びが良い」と表現してます


二番目の理由は、その時に出会った「京師」の八本調子(上写真の管頭に数字がないもの)が本当に本当に美しくて、可愛くて、この笛を「愛でたい」と感じたからでした。これまで、ドレミ笛を見た時に、その笛の造形が美しいと感じたことは全く無かったのですが、この唄用の八本調子笛はこれまで見たどの笛よりも美しいと一目見て思いました。すっかり魅了されてしまい、手放せなくなってしまったのです。未だに世界一美人な篠笛と思っています。


彼女を褒め称えた記事↓↓↓


もちろん、日本十二律で作られていることも乗り換えた理由の大きな一つです。


と、いうか、

唄用の篠笛というのは本来は日本の音律に基づいて作られるのが然るべきであって、そうでない12平均律(ドレミ)で調律されている笛を「唄用」や「歌物」などと称して流通させている今の篠笛業界が普通ではない

ということを今一度書いておきます。


西洋楽器と一緒に演奏するため、西洋の音律を用いた音曲 (洋楽に限らずアニソン、J-POP等もこれに入る)を演奏するために、12平均律で調律して作られた笛であるなら、

「唄用」「歌物」など、和っぽい、伝統を感じさせるような名前をつけて販売することは消費者を混乱させるのでやめて頂きたい。



いや、そもそもね、唄用の篠笛って三味線音楽(歌舞伎音楽)の世界で考案・作成され、後にそれが「唄用篠笛」と呼ばれるようになった
(出典:http://shinobue.blog.jp/archives/14457490.html )んですから、ドレミの笛がその名称を乗っ取るようなことしたらダメでしょう・・・
篠笛業界のビジネスモラルってどうなっているのでしょう。


うーん...何らかの悪意が働いて現状こうなっているというよりは、ただただ「知らなかった」、「認識が曖昧」なままここまで来た、というところなのでしょうか。でも、ものを作って売っている限り「知らなかった」は通用しないと思います。

ボヤきモードに入ってしまいそうなのでこの辺にしときます。ひゃー(汗)

この件でボヤいている記事↓↓↓


唄用篠笛・ドレミ笛問題 一般消費者から言いたいこと

「京師」を選んだ理由の大きな一つが、日本の音律で作られている、ということに変わりないのですが、考えてみたら「日本の音律で作られているから○○の篠笛を選びました」ってなんかおかしな言い回しですよね。


日本の音律じゃなくて、どこの音律に沿って作るんですか?


篠笛ってどこの国の民族楽器なんですか?


って、ツッコミ所がいっぱいあります。


自分で書いてて違和感ありまくりでした(笑)
日本の民族楽器である篠笛が日本の音律で作られている、これがスタンダートとなる日が戻って来て欲しいです。



さて、「京師」以外に私が持っている篠笛もご紹介します。



獅子田 竹渓 古典調(囃子用)六本調子
朗童     古典調(囃子用)六本調子
雲雀     邦楽調(唄用)   八本調子



「獅子田」は「京師」の古典に慣れてきてからはめっきり使わなくなりましたが、「獅子田」の軽やかな指打ち音は大好きです。

「朗童」は水口囃子を吹く時に使っています。ちょっと吹きこなすのに苦戦中。

「雲雀」は以前ブログでご紹介しましたよね。↓↓↓

「邦楽調 雲雀」を吹いてみた  篠笛レビュー
https://shinobuesingapore.blogspot.com/2019/01/blog-post_7.html



皆さんは、どんな笛を吹いていらっしゃいますか?(^^)



以上、私の篠笛でした。