2019/08/06

髄膜炎再発

こんにちは。


7月は全くブログを更新できませんでした。


実は、2年ぶりに髄膜炎が再発しまして先月は1週間入院した後、2週間ほど自宅療養していました。

現在も全快したわけではなく、まだうっすら頭痛が残っています。


7月初めにちょっと嬉しいことがあって、そのことをブログに書きたかったのですが髄膜炎になったせいで全部飛んでしまいました。


完全復帰したら書きますね。



今はとにかく心身ともに休養をしっかりとりたいと思います。






2019/06/12

京都 篠笛修行メモ6 - 篠笛を吹く理想的な環境とは -


前回の、京都 篠笛修行メモ5 - 風にやられた - からの続きです。

読んでない方はお先にこちらを・・・


京都 篠笛修行メモ5 - 風にやられた -

3日目(5/19)

⑥篠笛を吹く理想的な環境とは


さあ、いよいよ森田先生の演奏会です。

客席はお客様でいっぱいだったので、私達門下生たちはお部屋の外の廊下から見させていただきました。


演奏が始まると同時に、清らかで、瑞々しい篠笛の音色が雲龍院中に響き渡りました。

たった一管の篠笛から、次々と美しく豊かな音色が紡ぎ出されていきます。

先生の舞台での生演奏を初めて聴かせていただいて、改めて篠笛という楽器のポテンシャルの高さを実感。そのポテンシャルを極限まで引き出して演奏されている先生に尊敬の念を覚えました。


演奏だけでなく、お話でもお客様を楽しませる先生。

篠笛について、そして篠笛の出自である祭について、真面目に、時には笑いも取りながら説明されているトーク術は大変参考になりました。


中でも最も印象に残ったのは、
「篠笛は、半自然・半人工の環境でこそ力を発揮できる」というお話です。

これは初耳でしたので、お部屋の外から興味津々に聞き入りました。


海や山などの完全な自然の中で笛を吹くと、音が返ってこないので「味気ない音」になるそうなんです。

そういえば、以前、何にもない野原で篠笛の練習をした時に、自分の音がちゃんと聴こえなくて不安になったことがあります。耳がおかしくなったのか、笛がめちゃくちゃ下手くそになったのではないかと落ち込んで帰ったことがありました。

あの時、自分の音が聴こえなかったのは、音が反射するような人工物が一切なかったからなんですね。ものすごく納得。

今回の雲龍院さんのような、お庭を背景にしたお座敷はまさに半自然・半人工の環境なので、お庭から返ってくる音を聴きながら、つまり吹き応えをしっかり感じながら吹くことが出来るとのことでした。


本番前に先生が門下生にお話された、「お庭から返ってくる自分の笛の音色を楽しみながら吹いてみてください」ってこういうことだったのかぁと、本番が終わってから分かりました。



「半自然・半人工の環境」についての詳細は篠笛フォーラムのコメント欄と先生のブログ記事を読んでみて下さい。
私もコメント欄に色々書いております。↓↓↓
京都・雲龍院 玲月流篠笛奉納演奏会(ご報告)- 篠笛フォーラム(掲示板)より

篠笛を吹く理想的な環境とは

「篠笛は、半自然・半人工の環境でこそ力を発揮できる」(森田玲先生)
何を吹くのかも大事ですけど、何処で吹くのかも大事ですよね


お庭から返ってくる自分の笛の音色を楽しむ余裕は正直今回はなかったですね。
なんせ、風と戦ってましたし・・・。


上でご紹介している篠笛フォーラム(掲示板)のコメントで森田先生が書かれていますように、
「環境と波長が合う」というのが、庭からの反射音を感じる際の大事な条件の一つらしいのですが、私はあの環境に馴染もうとするどころか逆行しようとしていましたので、波長を合わせる意識がまるでなかったと思います。


唯一、最後の「秋の音」で香織先生と二重奏を吹いている時はだいぶ緊張が解れて精神的に落ち着いていたので、この時だけはお庭から返ってくる音を僅かに聴けていたような気がします。専ら、自分の音よりも香織先生の美しい音色の方しか記憶に残っていないのですが・・・

いずれにせよ、風ひとつでジタバタしているようでは修行の道はまだまだ長そうです。


森田先生の演奏会は、演奏はもちろん、お話、舞台上での振る舞い、選曲、演奏場所、お客様の反応など全てに於きましてとても勉強になりました。


「プロの篠笛演奏家のあるべき姿」を拝見させていただいた貴重な時間となりました。


香織先生が使われていた太鼓

演奏会は大盛況のうちに終了し、お越しくださったお客様を先生方、門下生一同で丁寧にお見送りした後、会場の撤収作業へ。


3日目(5/19)

⑦懇親会


撤収作業をちゃちゃっと手際よく終え、一同は雲龍院さんを後にして懇親会会場の
がんこ 高瀬川二条苑へ移動。

こちらは、川がせせらぐ庭園を眺めながら懐石料理が楽しめるお店です。
舞妓さん・芸妓さんを呼んでお座敷遊びも体験できるそうです。

食事の写真はこれのみ
飲みとお喋りで忙しくて撮るの
忘れてました

懇親会では他の門下生の皆さんとたくさんお話して交流を深めることが出来ました。

皆さん、本当に篠笛に対して真摯に向き合われているとお話していて感じました。


「真面目に、コツコツ、正しい方法で篠笛の奏法だけでなく、篠笛の歴史文化を学ぶ」

玲月流門下生のこういう堅実なところは非常に共感します。


派手なもの、安易に理解できるもの、手軽なものばかりが受け入れられがちな世の中ですが、私はこういう真面目な流派があっても良いのではないかなと思います。


ちなみに玲月流は真面目・堅実ですけれども、無意味な堅苦しさはないんですよ~


・・・


懇親会の中で、森田先生から門下生一人一人に向けて今日の演奏への講評が発表されたました。

16人それぞれの演奏の良かった点・悪かった点を指摘した上で、さらにレベルアップするにはどうすればよいかのアドバイスをくださいました。
(一人一人の演奏の細かいところまで覚えておられるのがスゴイ)


私は音色や曲調に関しては良い評価をいただきました。
ただ、自覚しておりますが、やはり笛の構え方がまだ良くない(カタイ)のでそれは要改善とご指摘を受けました。
また、お囃子系の曲を吹く時の留意点などもお話くださりました。

先生からは教わることばかりです。本当に何から何までありがとうございました。
がんばります。


・・・


懇親会の後は、東京から今回の発表会参加のために来ていた4名の門下生さんたちと京都駅近くのホルモン屋さんで二次会。

東京の門下生さんたちはエネルギッシュ。
玲月流、森田先生への愛がすごいんです。
前向きな話がたくさん出来て楽しい時間を過ごせました。

またお会いしましょう!


・・・


篠笛三昧の3日間、本当に夢のような贅沢な時間を過ごすことが出来ました。

この3日間で出会った人たちは、全て私が篠笛を始めていなかったら巡り合っていなかった人たちばかり。縁を繋いでくれた篠笛に感謝します。

学んだことを少しでも形に残せるように日々精進していきたいと思います。


京都 篠笛修行メモ 完

いつか自分の心が挫けたり、怠けてしまった時に、2019年の5月に京都で何をやり、何を考えていたのかを思い出すための備忘録として。


京都 篠笛修行メモ 1から読む
京都 篠笛修行メモ 2
京都 篠笛修行メモ 3
京都 篠笛修行メモ 4
京都 篠笛修行メモ 5

2019/06/11

京都 篠笛修行メモ5 - 風にやられた -


前回の、京都 篠笛修行メモ4 - ノーミス狙いが目標じゃない - からの続きです。

読んでない方はお先にこちらを・・・


京都 篠笛修行メモ4 - ノーミス狙いが目標じゃない -

3日目(5/19)

⑤風にやられた



予定通り、13時半より本堂にて般若心経の読経と御焼香の後、奉納演奏が行われました。

「桜」と「篠楽」― 玲月流門下生一同
「カミあそび」   ― 森田先生

「奉納演奏」というものに初めて参加させていただいたので、勝手が分からず他の門下生の皆さん達の見よう見まねでなんとか凌ぎました。
般若心経、小さい頃に憶えててよかったぁー(汗)

こういう厳かな場は緊張しますね。


*奉納演奏に向かうために本堂に向かう門下生たち
私、踵上げて歩いてるんですけど、これ絶対 間違ってると思うんです・・・
もう、めっちゃ無作法・・・すみません・・・

*初の奉納演奏


引き続き、日本庭園を望む「大輪の間」に移動して、玲月流門下生による発表会。


大輪の間より
右側にチラっと見えている赤い毛氈を敷いている
ところが私達の舞台です

会場を覗くと、お客様がお部屋いっぱいに座っていらっしゃって驚きました。(過去最高のお客様の数だったそうです)


篠笛だけの演奏会でこんなにたくさんの人がお見えになるなんて、ちょっとシンガポールでは考えられないです(そもそも篠笛に特化した演奏会の実施そのものが当地ではあり得ないのですが)。
日本はお客様に恵まれてますねぇ。ありがたいことです。


・・・


発表会では16名の門下生が一曲ずつ一人で演奏し、私は16番目で「さくら」を演奏しました。

*「さくら」演奏中

めちゃくちゃ緊張してしまいました。


「0の音」は・・・半分アウト・半分セーフみたいな結果となりました。


一番最初に出てきた「0の音」だけ出だし少し鳴らなかったのですが、吹きながら持ち直して捻り出した感じです・・・もう、やっちゃったものは仕方なし。



それよりも、何よりも、


にやられました。


お庭から吹いてくる冷たく乾燥した風に唇と口の中の水分が一瞬で奪われてしまいました。息継ぎの度に冷たい風が口から入って来て、乾燥した唇がうまく歌口の上に乗らず、「さくら」を演奏中に音が崩れそうになる局面が何度かありました。

緊張で口が乾いてしまうことはこれまでも何度も経験していますが、今回のように風という外的要因によって自分のコンディションに大きな変化が起きたことは初めてでした。


それでも大きな事故にはならず、なんとか一曲を吹き終えて舞台袖へ退場。


お水を飲み干しながら、


(そうか、日本で笛を吹くってこういうことなのか・・・)


移り変わる四季・自然の中で笛を吹くことの厳しさを思い知らされたのでした。



プログラム上では発表会はここで終了だったのですが、その後、サプライズで(?)香織先生と3曲演奏させていただきました。


「馬鹿囃子」という伊勢大神楽の獅子舞の曲
香織先生が太鼓で入ってくださいました。

*「馬鹿囃子」

次は、
香織先生の「月」独奏から、「カミあそび」
無理を言って、太鼓を叩かせていただきました。

*「カミあそび」

最後は私が大好きな「秋の音」という曲を香織先生と二重奏で。
もうこの時にはだいぶ緊張も解れていました。
香織先生がいい感じで入ってくださるので、それが心地よくて心地よくて、うっとりしながら吹いていました。

*「秋の音」二重奏

なんとか無事終了。
時間にしてみればほんの15分くらいのことでしたが、色んなことが巻き起こった発表会でした。

*香織先生がいてくださったのが本当に心強かったです

この間もずっと風とは戦っていました。


最後の「秋の音」を吹いている時は、唇ガッサガサ・喉カラッカラの状態で、
一番バシっと決めたかった曲でしたが、本調子では吹くことは出来ませんでした。
(良い音は出ていたそうなのですが、自分的には不完全燃焼)


すべてを終えた後、まず「自然に敗北した」という気持ちになりました。
そして、自分が篠笛を吹く身体を全く作れていないことを痛感したのでした。


これは、年中通して気候・気温の変化があまりないシンガポールに留まっていたら絶対に気づかなかったことだと思います。


発表会プログラムを終え、続いては森田先生による演奏会です!



京都 篠笛修行メモ6 につづく。 

京都 篠笛修行メモ6 - 篠笛を吹く理想的な環境とは -




* 撮影:ミヤシタデザイン事務所様